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魔法使いと存在証明

スレ主 黎鴉 投稿日時:

はじめまして、黎鴉と申します。

今回、やっとプロローグ部分をかけたのですが、自分で何回も見すぎてちょっと客観的になれず皆様の意見を聞きたく投稿します。

あらすじは「普通の人との違いをコンプレックスに感じている少女が”魔法使い”に会い、様々な魔法事件を解決していく話」です。
テーマは”発達障害”と”愛情”で行こうと思っています。
プロローグは少女が魔法使いにあって素質がわかるまでとなっております。

どうぞ、よろしくおねがいします。

プロローグ

 私は駄目な人間だ。
 何故って? 普通の人ならできることが私にはできないからだ。
 いつも親に怒られる。
「どうしてこんな事ができないの」「どうしてそういう事をするの」
 いつもそうだ。普通の人は簡単にこなせることが私には酷く難しい。
 例えばそうだ、みんなじっと座って授業を聞いている。けど、私は体がムズムズして立ってしまったり、忙しなく脚を組み直したりしてしまい教師に怒られる。
 他はなんだろう、忘れ物が多くて全教科持ち歩いたり、人の話の途中で話をかぶせてしまったり、人の話の最中に別のことを考えたしする。
 まだまだたくさんあるが、話せば長くなるのでここまでとしよう。
 そんな駄目な人間に生きる価値はあるのだろうか。
 そう考えて憂鬱になった私は学校の屋上でただぼんやりと下の景色を眺めていた。
 ここから飛び降りたら母は心配してくれるだろうか。数少ない友達は泣いてくれるだろうか。
 
 ――いっそ飛び降りてみようか――
 
「おい」
 突然後ろから声がかかって本当に落ちそうになった。それを後ろの声の主が押さえる。
「あっぶねぇ……大丈夫か」
「は、はい……」
 死ぬかと思った、けど死んでも問題は無いけど。
 声の主は男の人で、何処かで見たことのある姿だな、と思った。
 ボサボサの髪の毛は黒く、瞳も同じ色をしていた。
 ヨレヨレのワイシャツはズボンに入れていなくて風になびいている。下はきっとスーツだろうと思った。
 校内では煙草禁止なのに何故かふかしている。
「お前、死にたいのか」
 単刀直入に言われてドキッとする。
「あー……まぁ……えっと……」
 私は吃る。なんて言ったら良いのか……。
「だって、私。何もできないし。点数も悪いし、授業もまともに受けれないし……」
 聞かれてもいないのに理由を述べていく私。
「そうか、それに原因があるとすればどうだ、直したくないか」
「……え?」

 ――それが、私の師匠との出会いであった。

「まずはそうだな。ちょっとしたテストを受けてもらおう」
 放課後、連れて来られたのは学校からすぐ近くの廃ビル、その一室。
 一言で言えば散らかった部屋だと思う、入り口から見て右手奥に机が。その机、前の壁に大きな薄型テレビがテレビ台に乗っかっている。
 左手すぐにはポールハンガー。その奥は何やら幾つものダンボールからいろいろなものが溢れかえっている。
「テスト……ですか?」
「まぁ、そこ座れ」
 男は机を前に座る前に反対側に椅子をおいて指し示した。
 おずおずと座ると何やら机の引き出しからいろいろなものを取り出した。
 絵柄がついた積み木に絵が書かれたカード、一冊の学校のテストに出そうな冊子。
「まずはそうだな、これやるか」
 煙草の火を消して冊子を私の前に出す。
「中に説明が書いてある、読んでわからなかったら言え。時間図るからな」
 時間があるのか……恐る恐る開いてみると点が書かれたページがあった。
 説明を読むと、時間内にたくさん点と点を結べというものらしい。
 何だこれは……。
「莫迦にしてます?」
 私はたまらず言ってしまう。しょっちゅうあるのだ、思ったことをすぐ口に出してしまい相手を怒らせてしまう……
「してない、れっきとしたテストだ」
 そう言われて黙り込む私。仕方ない、やろう。
 私はちょっと座り直す。
 最初の問題は数分で終わり次へ次へと進んでいった。
「よし、冊子は終わりだ。次はこれだな」
 男は絵の書かれたカードを取り出した。
「これにはストーリーがある、この絵を自分が思う通りに左から並べてみろ」
 これも、テストなのか……。
 この問題も数問して、今度は積み木を男は前に出す。
「今から俺が模様を出す、それと同じ模様にしてみろ」
 模様のついた積み木は赤い三角だったり四角だったりという模様を組み合わせて作るらしい。
 これは一番苦戦した。最後の三問ほどどうやって出来ているのか分からなかった。
「おつかれ、終わりだ」
「はぁぁ、なんだか勉強してるよりも疲れました。で、何のテストなんですかこれ」
 私はさっきから思っていたことを口にする。
「”魔法使い”の素質を図るテストだ」
「……は?」
 何を言っているんだこいつは……?
「おめでとう、お前には素質がある。感謝するんだな、俺の弟子になれることを」
 え? まって、どういうこと? こいつ今”魔法使い”って言わなかったか? まてまてまて、それはおとぎ話で、本の中のフィクションで……
「まぁ、信じられんのはわかる。ホレ」
 男は右手の手のひらを上に出すとその手のひらから炎が湧き出した。
「は? え? なにこれ?!」
 身を乗り出してまじまじと観察する。手のひらになにもない、ただ手のひらがあるだけだそこから少し浮いたところから炎が出ている。
「ははは、そんなに目をキラキラさせてくれるな、久々に嬉しいぞ」
 男は笑う。手を引っ込めると炎は消えて無くなった。
「どどどどういう事?」
 私は慌てる、魔法というものにすごく惹かれた。
「ま、最初はわからんことだらけだろうがちゃんと教えるからな。あ、あと……」
 男は徐に机の横にあった試験管等がある棚を探し始める。
「あった、あった。これやるよ、自信作だ」
 紙袋を渡された、中身を開けてみると黄色い小さな円柱のようなものが袋に小分けされて入っていた。
「”コンサータ”俺が作った”魔法使い”のデメリットを緩和する薬だ、最初は一錠な。飲み過ぎは厳禁だ、ちょっとした麻薬成分が入っているからな」
「ま、麻薬!?」
 私は驚いて薬を二度見する。
「ちょっとだ、ちょっと、人体に影響はない。一応俺薬剤師でもあるし。あ、後お前の親御さんにも伝えとくわ」
 まて、まさか「娘さん魔法使いになります」なんて言う気じゃぁ……
「安心しろ、一般人ではお前の症状は別名がある」
「……え?」
「”発達障害”その中の”注意欠如多動性障害”ってぇやつだ。俺も元々そうなんだがな」
 ”発達障害”それは学校だった気がする、聞いたことがある。普通より発達機能が遅く周りと上手く馴染めないなどいろいろな障害がある人のことだ。
「俺はお前の学校の理事もやってて連絡先は知ってる。それ持って帰る頃には話はついてる」

 ――そこから私の魔法使いと普通の高校生の生活が始まった――

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