真飛幽利は一人で暮らしたかった。の第2話 全4話で完結
真飛幽利は一人で暮らしたかった。の第2話
作者 せんり 得点 : 2 投稿日時:
「ねぇ、ユーリ。緑茶はないの?」
目の前には相も変わらず、座敷童を名乗る子供がいる。
「お前、いい気になってきてるな」
この生意気な子供と同居状態で数日がたっていた。
人の食事を奪う形になっているというのに、遠慮というものが日に日になくなってきている。さっき言われた緑茶のことも、はなから幽利がだすのは当然だと思っているに違いなかった。
「座敷童だとか言ってるけど、幸運どころかただの穀潰しだぞ」
茶を入れてやりながらも、幽利は聞こえるように自称座敷童に文句を言う。すると子供はこちらに歩いてきて言い返す。
「今の言葉は私への侮辱か! このやろう落ちぶれさせてやる!」
「はいはい」
しかし、本人は大迫力の脅しだと思っているらしいが、子供らしく言ってみせるだけで、何もしたことはない。座敷童は人を不幸にもできると言うが、こいつの場合ただのはったりだろう、と幽利は相手にしなかった。
「……いつか、後悔させてやるっ」
今にも泣き出しそうな顔を見て、しまった、と思う。周りには聞こえないらしいが、一度泣けばうるさいわめんどくさいわで大変なのだ。こうして子供のぐずりに悩むおやのように、幽利は嫌々かまわざるをえないのだった。