終末少年ジャンプの第2話 全6話で完結
終末少年ジャンプの第2話
作者 氏号一 得点 : 1 投稿日時:
この漫画雑誌の発売日は月曜日だ。
だけど俺は毎週土曜日に購入していた。昔なじみの本屋の爺さんは少し早く買わせてくれる。
土曜日が最後、といってもその日が来てすぐに滅亡ってなわけでもないかもしれない。だから次で本当の最後の刊だろう。
部室を出た時、開けっ放しのカバンから覗く雑誌を見てそう思った。
「先輩、さっき漫画の終わりについて聞きましたよね?」
少し前を歩く先輩はゆっくりと振り返った。空いたままの扉から、夕方に吹く冷たい風が遊んでくれ。 と言わんばかりに彼女の髪と戯れている。
恥ずかしそうに髪を抑えて「そうだね」と頷いた。
「今回はこの漫画雑誌で、いつもみたいにちょっとした『遊び』をしませんか」
「君も物好きだね。最後くらいはもっと有意義なことに時間を割けばいいのに」
クスリと笑う先輩。
「これも単なる暇つぶしかい?」
いつもこういった遊びをする時だけは人形めいた感情の見えない目が潤う。学校の不良品なんぞに近づいてまで片っ端から暇つぶしを模索する。それが先輩の有意義な時間の使い方だった。
そうですよと大きくアピールするも先輩はもうスイッチが入ってしまったみたいだ。
好きな漫画を熟読している時みたいに思考の海を漂っている、そんな思案顔。でもすぐに切り替えられるその目は爛々と輝いて見えた。
「よし、ではこうしよう。来週で最終話のラブコ「却下します」え、君酷いよ!」
「それ先輩しかわかんないです。俺でも知ってるものってなるとあの漫画でしょ」
あの漫画、先輩が最後に読んでいた漫画はこの雑誌の花形だ。
俺と先輩はこの作品の最後は何かを考えることにした。だけどそれじゃあゲームにはならない。だから。
「終わらない作品だったとしてもどこかで途切れるなら、そこが最終回なわけです」
「君が言いたいのは次の刊を最終話として、物語の最後を考えるということか」
「一番終わりに近いものを考えたほうが俺らの最後をどうするか決めるってわけですよ」
だからこの作品のあらすじから話していこう。そして最後を決めてしまおう。
「俺、知りたいことがあるんですよ。だから勝ちますよ」
俺の提案を飲んだ先輩に指を突きつける。大きく開いた目は少しの間制止し、静かに閉じる。俺と先輩の遊びは今この瞬間から開始のチャイムが鳴った。