楽園に囚われた少女
作者 あおいひつじ 得点 : 1 投稿日時:
私達イチカ民は、太陽の女神と月の女神を信仰している。
姉妹である2人は、私達イチカ民にそれぞれ贈り物をくれた。
太陽の輝くころに生まれた昼の民は、7歳になると同時に洗礼の儀式を受け、太陽の女神より育みの力を受け賜う。
その反面、月の煌めくころに生まれた夜の民は、生まれたときに洗礼の儀式を受け、月の女神より癒しの力を受け賜う。
昼の民は太陽の女神が眠る間に眠り、夜の民は月の女神が眠る間に眠る。
2つの民が会うのは、たいてい早朝か夕方の、空の白いころだけだ。
親子で違う民だということも、ここでは珍しくない。
イチカ民は、昼の民か夜の民に分けられる。
例外はない
………と思われてきたが、太陽の女神と月の女神、どちらからも祝福された、全ての生を司る聖なる巫女が生まれた。
それが彼女。
彼女は楽園に囚われている。
利用されるためだけに。