もしも貴方の元に可愛い吸血鬼が訪れたなら…
作者 曙改2 得点 : 0 投稿日時:
そう、今日もまた一日が始まろうとしていた、俺は学校ではいじめられっ子で、親も早くに失った、今はバイトを掛け持ちしてなんとか一人暮らし、そんなつまらない俺の人生に一筋の光が差し込もうとしていた…
(アラームの音が聞こえる…)
(はぁ…また今日が始まるのか…)
俺はそんな事を考えながら重い腰をあげる、寝癖がついた髪をポリポリとかきながらのしのしと布団から起き上がる、洗面台に来た俺は歯を磨き顔を洗い、時計を見て遅刻しそうな事に気がつく、そう、ここまではいつもと変わらない朝だった…
「やべぇ、遅刻する!」
そう叫びながらドアを勢いよく開けると、
(ドンッ!)ドアが何かにぶつかって止まった
俺は恐る恐るドアの向こうを覗くと、そこには…
「いったーい!もう何よいったい!なによこの壁!いきなり動いたら…」
「………」
俺はドアの向こうで座り込む少女と目が合ってお互いに黙り混んだ
「あの、大丈夫、ですか?」
「あなた、今どこから現れたの!?」
「え?いや、そりゃあここ俺の家なんで、玄関から?」
「あら、ここ貴方の家だったの…ってことは、今この壁を動かしたのもあなたってこと?」
「壁?ドアだけど、あぁそうだよ、それより大丈夫か?いい勢いでぶつかっただろ」
「まぁ、少し痛かったけど、なんてことないわ、それより、何か食べ物あるかしら、お腹すいてて…」
俺は遅刻しそうな事をすっかり忘れていた、とにかく一つ言えることは…
なにこの子、超可愛い!!
「食べ物?無いことは無いけど、あんた家出でもしたのか?」
「違うわ、もともと私この世界の生き物じゃ無いのよ、そうね…」(バサッ!)
目の前の少女がおかしな事を言い出したと思った瞬間、少女はとんでもないスピードで俺の後ろに回り込み、俺の首に人間とは思えない程長い爪を突きつけた、
「お前、なんの真似だ…それにこの世界の生き物じゃ無いって…」
「とりあえず、寒いのだけど、貴方の家に招待してくれるかしら?話はそれからよ。」
こうして俺の新たな人生が幕を開けようとしていた…