余命5か月後の君と5ヶ月間の物語。
作者 厨二病? 得点 : 1 投稿日時:
「好きです。付き合ってください。」
放課後の教室にあまり聞かない言葉が響く。それから彼女はゆっくりと目を開き、笑顔で、
「ごめんね。私、彼氏とかつくる気もないから、、、でも言ってくれて、ありがとう。」
と答えた。そしてその相手はカバンを肩に通し帰っていった。
「ねぇ〜盗み聞きは良くないんじゃないの〜」
さっきまで何もなかったかのようにいつもの明るい声で話しかけてくる。
「別に、盗み聞きしようとは思ってない。それに君はよくモテるね。」
「ホントだよ〜こっちは病気であと5ヶ月で死ぬってのによ。モテる女は辛いね!、、君は今から帰るのかな?なら一緒に帰りましょうよ。」
彼女の名前は神埼奈々5ヶ月後病気で死ぬ。この物語は彼女と僕の5ヶ月間の短い物語だ。
「いいよ」
「ねぇお母さん病院行くから一緒に来てくれない?」
家にお母さんの大きな声が響く。お母さんの手の指にヒビが入って病院に通っているところだ。お母さんは片方の手が使えないため僕が手伝っているのだ。病院はいつものように静かで本を優雅に読むことができた。お母さんが診察にいっている間僕はいつも本を読んで待っている。
ガタッ
物音がした。そこには僕と同い年くらいの女子が落とした一冊の本があった。
「落としましたy、、、いない」
僕が気づいて拾い上げたあとにはもうその子はいなかった。
「神埼奈々、、、、、?」
そこには同じクラスの人の名前が書いてあった。同じクラスだけど一度も話したことがない。いつも笑顔で明るい人。そんな周りにいる集団を僕はいつも眺めている。思うがままに一冊の本を開いてみた。
6月9日
私は、脳血管障害であと5か月後に死ぬ。残りの人生を楽しく生きよう。
「5か月後に死ぬ、、、、」
「あの、、、、、すみません。私の本、、、」
そこには僕と同じクラスの神崎奈々が立っていた。
「あ、、すみません。落ちてたんで、、どうぞ」
僕は慌てて持ち主に本を返した。あんなにいつも明るいあの人が病気で5か月後に死ぬだなんて、、考えてもいなかった。みんなは知っているのだろうか。いろんな疑問がたくさんあった。
「中身見た、、?」
その人は困った顔でこちらを見て言った。
「ごめん、見るつもり無かったんだけど。、、、、」
僕は嘘をついてもしょうがないと思い正直に答えた。
「ねぇ私の残りの人生、君と過ごすのに使わせてよ!」
返ってきた言葉が考えてもいなかった言葉だったので僕は言葉を失った。でも僕に病人の残り少ない大切な人生を楽しませる自信がない。