私がアイツでアイツが私での第2話 全10話で完結
私がアイツでアイツが私での第2話・A
作者 つたぬき 得点 : 0 投稿日時:
ついに、遂に完成した!
三ヶ月…寝食を忘れ、研究に没頭していた。が、今は体が軽い!
そのはずだ! 自分は人間なのだ!
憧れても、決して手に入らない人間の体…長い髪に絡まない角のない頭、地面に寝そべり痛まない翼のない背中、太陽の色に似た皮膚…全てが自分の体と違う。そして、愛おしい…
「ああ! これで愛し合える!! 姫(仮)今行きます!!!」
「はあ、はあ」
人間とは、なんて脆いのだろう。
高々、二日間、三日歩いただけで疲労する。
グゥ~
まさか、これは空腹か?
非効率過ぎる。この程度でーーめ、目まいが…
ドサッ
(幻覚だろうか? 最後に姫の ス ガ タ が…)
なんだ、コイツは…
ここは王都の城壁外、増築された農家の道沿いで、行き倒れが家畜のヤナックに嵌まれている。
ヤナックは草食の偶蹄類だから、危険はないだろうが無視は出来無かった。
行き倒れは余り珍しくないが、これが王都の伝令とかなら、ややこしいことになる。
「お父さん、どうしたの?」
鉄仮面を付けた娘がやって来る。
誰が見ても、奇怪だが夜盗除けにはなる。
鉄仮面を被っていると、奴隷商に売れないし、無理に外そうとすれば顔に傷がつくからだ。
(俺の娘じゃないと、バレることもない…)
「行き倒れだ、客間に運ぶからスープでも用意して来い、俺の分もだ!」