異世界転生なんて夢物語だ。の第2話 全10話で完結
異世界転生なんて夢物語だ。の第2話・A
作者 壱番合戦 仁 得点 : 0 投稿日時:
「オイオイ、親父!思っていたのと随分違うじゃないか!あの仄香って子、全然萌えねえよ」
俺の激しくツッコミを入れたにもかかわらず、親父は豆鉄砲を撃たれた鳩みたいなアホ面をしている。
「違うって、何がだよ?隼人は、ああいうしっかりした妹が好みじゃないのか?」
「あのなぁ親父、もっとキャラ属性ってもんを理解しておけよ……。
さっきさ、仄香だっけ?あいつが布団とか敷いている最中に『手伝おうか?』ってさりげなく声を掛けたら「あ、自分でできますんで、結構ですっ☆」って笑顔で断られたんだよ……流石の俺でも心が折れるかと思ったわ!!」
「え、どうして?」
野郎、すっとぼけやがって。本当は何のことか分かっているだろ……。
「あいつ、顔はそこそこでしかないのに、笑うとえくぼが出来て笑顔だけはキュートなんだよぉっ!!わかるかっ、真綿で首を締め上げられるようなこの気持ちがっ!?」
ぷぅっ。
返事の代わりにモワリと硫化水素の混じった悪臭が漂う。
「ま、待て待て待て、違うんだ、俺が悪かった……!!許して」
「ぶっコローーーーッス!!!『リバーシブル・クロスチョップ』ゥッ!!」
「すんまそーん!!」
逆十字形に交差させた俺の腕をモロに顔面に食らった親父の断末魔が、高い高い秋の空に響き渡ったのだった。