「秋時雨彼の人追いし濡れ鼠」の批評
回答者 なお
ゲルさん、こんにちは。私はくしゃみの句にコメント出来なかったので初めましてです。
御句拝読しました。なかなかムードのある句ですね。
とは言え、少し気になったところがありますのでお伝えします。
まず季語の「秋時雨」ですが、これは、この道場でお題になっているから使いましたか?
時雨というのは、晴れていたかと思うと急に雨が降り、しばらく降ったかと思うと知らないうちに止んでいたりする。そこで傘をたたむとまた降り出したりする。それが時雨で、時雨だけだと冬の季語ですが、秋を付けて秋時雨は秋の季語になります。
俳句としては、この、「降ったり止んだり」を活かすことができればしめたものですね。
その点、御句の「濡れ鼠」がちょっと違和感があったのです。もちろん、時雨でも濡れ鼠になることはあるかもしれません。
でも、もし、びしょ濡れやずぶ濡れを表現したかったら、まだ「秋の雨」のほうがいいですよ。降ったり晴れたりしませんから。
次に、「彼の人」です。お気持ちはわかりますが、俳句や短歌では、音数短縮のこともあり、思いを寄せている相手のことは「君」と表現します。もちろん、ルールでも絶対でもないです。
ただこの言葉を置けば、ある程度俳句をわかっている読み手であれば、ああ、ちょっと特別な人だな、とわかってくださると思います。使ってみてはいかがでしょう。
これらとゲルさんご自身のコメントから、次のようなのを考えました。
・先を行く君追ひかけて秋の雨
・秋雨や君の背中の遠くなり
作者が濡れているかどうかは読み手が想像してくれると思いますが、少なくとも「心は濡れている」と思ってくれると思いますよ!
点数: 2
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自分より先の方にいる傘を持っている想い人を傘を持たない自分が雨の中追いかけると言う場面です。
傘を刺す人は自分を待ってくれないという切なさと、秋時雨の侘しさを重ねたつもりです。