秋の蝶手擦れの絵本めくる音
作者 辻 基倫子 投稿日
コメント(俳句の意味。悩みどころ)
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「秋の蝶手擦れの絵本めくる音」の批評
回答者 慈雨
辻基倫子さま、こんばんは。
先日は☆100個ありがとうございました♪
実と虚の境をイメージしていましたが、それ以上に深く鑑賞してくださって嬉しいです。
さて、御句拝読しました。昔の絵本を開くと様々な思い出が蘇りますね。優しい気持ちが伝わってきます。
少し気になったのは、上五・中七・下五とも名詞で終わっており、読んだときにちょっと三段切れっぽく(実際には中七下五はつながっていると思うのですが)、やや窮屈な印象を受けました。
・秋蝶や擦れた絵本をめくる音
・秋蝶や擦れた絵本の音きれい
とかだと変ですかね…?
鑑賞で2つ、考えさせられました。
◯古い絵本と言えば普通は、色褪せているとか、破れたページとか、視覚的な情報に注目すると思うのですが、聴覚(音)で詠まれているのは何故だろうと。
初読で、なんだか一歩引いたと言うか、他人事っぽい印象を受けたのです。絵本を読んでるはずなのに音に意識が行くものかなぁと。
色々考えて、もしかして作者はたしかに絵本をめくってはいるけど、その意識はすでに絵本の内容よりもお子さんとの思い出に向いている――ということではないか、と思いました。
絵本の内容は上の空で、昔のことを思い出しながら絵本をめくっている、何となく耳にはページをめくる音が聞こえている。そんな句なのかなぁと鑑賞しました。すごく繊細な心の動きを捉えた佳句だと思いました(全然違っていたらごめんなさい)。
また、絵本をめくっているのが作者とは限らない(たとえば横で子どもが古い絵本を読んでいて、作者はその音を聞いているなど)鑑賞ができるのも面白いと思いました。
◯「秋の蝶」との取り合わせが凄く佳いですね!
私だったら思いつかないなぁ…安易に「擦り切れた絵本めくりて夜長かな」とかにしてしまいそう。。
綺麗だけど弱々しい、弱々しいけど綺麗。そんな秋の蝶と、お子さんの小さかった頃の記憶が響き合っています(「秋の虹」とかでも近い意味になるのかもしれませんが、やはりここは生物が一番合うように思いました)。
これは句意が変わるので添削ではないのですが、手擦れの絵本をめくる音と秋の蝶が似ている、ということを主軸にしても面白そうに思いました。
・秋蝶はたとへば擦れた絵本の音
まとまらないコメントを長々と失礼しました。また勉強させてください!
点数: 2
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「秋の蝶手擦れの絵本めくる音」の批評
「秋の蝶手擦れの絵本めくる音」の批評
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回答者 鈴蘭
こんばんは。拙句へのコメントありがとうございました。大王松は若木の頃は葉がしだれていて、大樹になるとそうでもないようです。大きな雲のような樹姿のボリューム感を出そうとしたのですが、狙ってやるとなかなか…。このサイト様では色々と実験させていただいています。忌憚なくご感想等いただければ幸甚です。
ご提案句もありがとうございました。秋の空を入れ込む以上は、生かす必要があるということを忘れておりまして、はっとしました。こちらこそ、ありがとうございます。私は特にベテランというわけでもありませんので、批評はどうか批判的に読んでいただければと思います。
御句、拝見しました。「手擦れの絵本」が少々気になりました。手擦れした、手擦れた、または絵本の手擦れ、ではないでしょうか。例えていうなら「手垢のついた表現」を「手垢の表現」とするような、伝わらないではないものの勝手に縮めた感があるような(辻様のまわりでは普通に使われている表現でしたら申し訳ございません……)。「めくる音」も少し浮いている気がしたので、「秋の蝶/手擦れの絵本」を視覚で統一して掘り下げてみる手もあるのでは、とご提案だけさせていただきます。取り合わせ自体には強い魅力を感じました。ひきつづき、どうぞよろしくお願いいたします。
点数: 0
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子どもが昔見ていた絵本をときどき引っ張り出して一人で読むことがあります。その少し切なく懐かしい時間と、秋の蝶を取り合わせました。いかがでしょうか。