「斃されし鹿の死体や穴持たず」の批評
回答者 ハオニー
「穴持たず」と聞くと、三毛別羆事件のことを思い出します
とあるドキュメンタリー番組で観たのですが、羆は人間が簡単に勝てるような生き物ではないと痛感しました
鹿が増えすぎたのは、狼や野犬などの天敵がいなくなったからと言われています
畑を荒らす理由は山に餌がないからではなく、山と人里の境目がなくなっていることが大きいと思います
と、予備知識次第でこちらの句の感じ方は大きく変わってくるでしょう
本題へ...
こちらの句、逆なのです
鹿の描写が多く、羆の描写が「穴持たず」しかないことが問題です
特に「や」で鹿の死体を強調しているため、肝心の「穴持たず」が季語として機能できなくなっています
そもそも、「穴持たず」が羆のことだと分からないと、季語は「鹿」だからと秋の句と勘違いされます
「穴持たず」と「羆」をくっつければ、確実に冬の句だと分かります
そして、鹿の死体の方のトーンを落とすのです
穴持たぬ羆に鹿の横たわる
斃されし鹿の死体、というのは当たり前です
直立不動で死んだとされる武蔵坊弁慶のような状態の方がレアケースですから、もしそういう鹿なら「直立の鹿の死体」などと書かないといけません
点数: 2
添削のお礼として、ハオニーさんの俳句の感想を書いてください >>
冬眠しない熊が増えているそうです。
エゾシカの増加で、冬でも餌として鹿肉を利用できる一部の地域の、一部のヒグマが眠らなくなったとか。
穴持たずとは、穴籠もりをしなかった冬熊のことです。
穴持たずを「冬の季語」として詠んでみましたが、鹿も季語なので悩みました。
また説明句にならないようにするのにとても苦労しました。