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真飛幽利は一人で暮らしたかった。第4話 全4話で完結

最終話・真飛幽利は一人で暮らしたかった。の第4話

作者 せんり 得点 : 1 投稿日時:


 妖怪か悪霊と思っていたら、座敷童と名乗る幼女と暮らし始めて、早一ヶ月が過ぎた。
 相変わらず彼女は大食らいで、当然ながらその食費を稼げるわけもなく、幽利の家計は圧迫されている。正直なところ、これ以上かさんだら本気でまずいといえるまでにはきていた。
「あの、穀潰しめ……」
 誰にも聞こえない声量だが、思わず本音がため息と共にこぼれる。もちろん、彼女と暮らすと悪いことばかりではではない。小さいことだが、福引きで日用品が当たったり、テストで勉強した範囲が出たこともあった。
 なにより、あの無邪気な笑顔の前では、ついつい許してしまう自分がいる。それだけでなく、子供とはいえ話し相手がいるということも、一人暮らしの寂しさを忘れさせてくれるのだ。
 幽利はそんなことを考えながら、学校から買い物を済ませて帰る途中だった。ふと、ケーキ屋のショーウィンドウが目に入るのはそれからまもなくのことだ。

「ただいまー。おみやげがあるぞー」
 玄関のドアを開けて呼びかける。しかし静まりかえっているため、明らかにおかしかった。いつもなら、すぐさま彼女は駆け寄ってきてタックルをかますはずなのに。
「おいっ、座敷童!」
 慌てて部屋のふすまを開けると、彼女は畳の真ん中に座っていた。ホッとして幽利は声をかける。
「おいおい、元気ないな。おみやげがあるって言ってんのに」
 すると彼女は幽利に振り返った。その顔を見て幽利は驚く、いつも明るく落ちこむこと知らない彼女が、泣いていた。
「ど、どうしたんだよ、お前」
「ユーリ、私黙ってたことがあるの」
 彼女の声にもまるで普段の快活さがない。ただごとではない事態に幽利は内心動揺する。
「わたしが、なんでここにいるのか、話したことないでしょう」
「あ、ああ。そういえばそうだよな」
 今まで訊いてもはぐらかしていたのに、どういうことなんだと思わずにいられない。
「座敷童はね、元は愛されずに亡くなった子供なの。わたしは飢えた末にここで力尽きた、ユーリが言うところの地縛霊」
「な、なんだよ。今更そんな話……」
「聞いて、わたしは幽利と暮らせて幸せだった。初めて愛情というものがわかったのよ」
「……っ!」
「でもそれを理解したら、わたしは成仏するんだって誰にも言われずともわかった。だけど、この思いを否定するなんてできない。たとえ、幽利と別れることになっても」
「おい、待てよ。なんなんだよ、それ……」
 いきなり別れだなんて、受け入れられるはずがない。あまりにも突然すぎる。時を待たずに彼女は光を帯びていた。「幽利、……あなたのことが好き」
「ばか、俺も好きだよ。決まってんだろ」
「……うれしい」
 彼女は顔を赤くしながら微笑んだ。幽利の目からも、滝のような涙が流れ落ちていく。そして乱暴にケーキの箱を開いた。
「お前が、食べたがってた」
 目を見開いて、彼女はフルーツケーキを指でつまみとり口に入れる。
「……おいしい」
 彼女は涙を流しながら満面の笑みを浮かべ、透き通るように消えていった。
 残された幽利は、ひたすら袖で涙をぬぐう。
「本当に、……ばかだよ」

 一年がたった。幽利は高校二年となり、何事もなく毎日は過ぎていく。一つだけ、あの物件が取り壊されることをのぞいては。
 別の新しいアパートに移った幽利は、立ち入り禁止となったボロアパートを最後をながめていた。なにごともなく重機で壊されていくのを見て、亜苦慮なんて元々いないし、かわいい座敷童もいなくなったからな、と幽利はぽつりとつぶやくだけだ。

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