灰空ときどき死神〜ぼくが生きた7日間〜の第4話 全4話で完結
最終話・ヤブ医者先生とのラストバトル
作者 うっぴー 得点 : 0 投稿日時:
ヒトミの願いを叶えるため、僕は思い切った行動に出た。
ヤブ医者は、手術の前にコーヒーを飲む習慣があることを突き止めた。
そこで、彼のコーヒーカップにあらかじめ睡眠薬を塗っておいた。
「きゃーっ、先生!?」
ヤブ医者先生は、手術室の前でバタンキューをする羽目になった。
狙い通り。これで奴は手術ができない。
ヒトミの友達の手術は延期になった。彼に見えていた黒いモヤも消え去った。
今日、僕は死ぬがこれで喰いはない。
めでたしめでたし。と思っていたら、また、彼に黒いモヤが見えだした。
「どうやら、日頃の疲れが溜まっていたようだ。だが! 私は、そして現代医学はこんなことでは挫けないぞ!」
ヤブ医者先生は、無駄にやる気を出して、その日のうちに再び彼の手術を行おうとした。こんなミスをした医者にまだメスを握らせるとは、この病院は何を考えているのか?
仕方がないので、急いでコーヒーカップに睡眠薬を塗り直したが、コーヒーを飲んだにも関わらずヤブ医者先生は、僕の狙い通り、手術室の前でバタンキューしない。どうやら、精神が肉体を凌駕しているようだ。無駄に少年ジャンプなヤツである。
仕方がないので、僕は手術室に乱入することにした。
「うわっ、なんだねキミは!?」
「うるさい! 人命最優先だ! そして僕は死ぬ!」
僕はヤブ医者の頭を金属バットで殴った。もはや、完全にキレた若者である。ニュースになってネットでしばらく騒がれそうだが、今日、死ぬ僕には関係ない。人一人の命を救ったのだ。悔いはない。
満足した僕の意識は急に遠のいていった。
気づいた時、僕は病院のベットの上にいた。今日、死ぬ予定だったのに死んでいない。
僕が余命七日間と思っていたのは、完全に僕の思い違いだったらしい。19歳なのい中2的な勘違いをしていた、ああ恥ずかしい。
そして、以外なことに、手術室で暴れた僕をヤブ医者先生は介抱してくれたらしい。腕は悪いが意外と良いやつだった。
手術室で暴れた僕は、完全にヤバイ奴よばわりされることになったが、ヒトミは相変わらず優しく接してくれる。そのことだけが救いだった。