おもむろに犬も見上げし白雨かな
作者 たんせき 投稿日
コメント(俳句の意味。悩みどころ)
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「おもむろに犬も見上げし白雨かな」の批評
回答者 げばげば
こんにちは。
2作目、早速登場ですね。
御句、2作目も内容の破綻のない句だと思います。
ゆっくりと犬も見上げた白雨だなあ、という感じでしょうか。犬が空から落ちてきた雨に驚いているのでしょうか?素敵なワンシーンだと思います。
後は細かいところですね。
・「犬も」とありますが、この「も」は他の者も見上げているということを狙っての「も」であるのか?自分と同じように見上げているという意図でしょうか?
・過去「見上げし」がいいのか完了存続「見上げたる」がいいのか悩みますね。
「犬見上げたる白雨かな」の方がいいのかな。
・前句で「ひねもす」を使いたかったのかなあという印象とともに、「おもむろに」を今回使いたかったのかあ?という印象を持ちます。上からぽつっと雨雫が落ちたことい気づいた犬が、このあと、ざーっと降ってくる夕立を見上げている、というのであれば、本当におもむろ?というリアリティの部分は出てくるかもしれません。それなら5音を犬の様子や場所など他の要素に使って詩を出していくというのも一つかもしれませんね。
店先の犬見上げたる白雨かな
散歩じゃなく野良犬感が出る?
三匹の犬見上げたる白雨かな
急にストーリーが出る?親子?兄弟?3匹とも雨見てるってコミカル?
凛々と犬見上げたる白雨かな
なぜ凛々しく勇ましく見上げているのだろうこの犬は?
何かいろいろ書きました、一例ですが、この「おもむろに・ゆっくりと」見上げたという措辞を描写したかったのでなければ、他の5音でいろいろ伝えたい光景を広げることはできるかもしれません。
ちなみに、たんせきさんも、他の方の句に感想・コメントを置いてみて下さい。そうすると、返事にたんせきさんの句へのコメントをくださるかもしれません。せっかく詠んだ句なので、いろいろな方のコメントもらいたいですもんね、よろしくお願いします(*'▽')
点数: 1
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「おもむろに犬も見上げし白雨かな」の批評
回答者 卓鐘
げばさんのコメントに賛成です。
「し」(過去の助動詞)「も」(並列の助詞)はどちらも推敲する上で気をつけるべきものです。
「し」
これは過去の助動詞「き」の連体形で、完全に過去起こったことになるので、臨場感が弱くなります。(臨場がある方が、感動が伝わる)
し<けり<たり・り<現在系 の順番で臨場感が上がります。
犬の見上げし白雨:過去犬が見上げた白雨?となります。
犬見上げける白雨:ちょっと意味が。。
犬見上げたる白雨:完了(〜した、〜してしまった )と存続(〜している)の二通りありますが、存続と捉えるべきでしょう。すると犬が見上げている白雨であるなぁという一定の時間経過が出ます。
犬の見上ぐる白雨:犬が今見上げてる白雨。臨場感はMAXですが、かなの詠嘆とは見合わないかもしれません。「かな」で一定期間眺めている様子が出るので。
という推敲の結果、私も、「犬見上げたる白雨」を選びます。
ただ、ここで問題が出てきます。「おもむろに」です。この副詞は見上げるという動作を修飾しますので、「見上げたる」が存続の意味ではなくなって、ゆっくりと見上げおわった、そして、白雨が降っているという犬の動作からの白雨を見ている作者という長い時間経過になってしまい、これでは句の焦点がボケます。(「し」でも同じ)
おもむろにを生かして犬の動作を詠むのであれば、「かな」の詠嘆はやめた方がよく、「かな」の詠嘆を生かしたいのであれば、「おもむろ」という見上げる動作を描写するのではなく、犬の描写や見上げている様子の描写、場所や時間帯の状況、など別の描写をいれるべきでしょう。
とまぁそういう推敲の結果、げばさんとほぼ同じ結論になります。
点数: 0
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犬の散歩中、空が明るいのに突然の夕立。犬も不思議そうに空を見上げていました。そんな状況を詠んでみました。
よろしくお願いいたします。