キャラ文芸とは何か?特徴、構造分析。ラノベ、一般文芸との違い。の返信
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キャラ文芸とは何か?特徴、構造分析。ラノベ、一般文芸との違い。(元記事)
キャラ文芸とは、ライトノベル的な極端な個性を持った主人公とヒロインをメインキャラクターとしながらも、文芸的な社会風刺、リアリティーの有る人間心理、知的なミステリーをライトに楽しむもの。
元祖的な作品で言えば、三姉妹探偵団シリーズ(刊行・1982年9月)などで有名な赤川次郎。
ラノベ作家でありながら直木賞を受容した桜庭 一樹の『GOSICK -ゴシック-』(刊行・2003年12月)などが該当する。
2011年3月25日にメディアワークス文庫から刊行された『ビブリア古書堂の事件手帖』で、ジャンルとして確立された。
●一般文芸とライトノベルの最大の違い。「キャラクター」
一般文芸とライトノベルの最大の違いとは、「キャラ」である。
一般文芸にはキャラクターという概念が存在しない。一般文芸は現実の世界を描写した物語であり、そこにいるのは生身の人間である。
一方、ラノベは漫画やアニメ、ゲームの世界を描写した物語であり、そこにいるのはキャラクターである。
キャラ文芸は、一般文芸にキャラの概念を導入し、ライトノベル的な超常現象の要素も含めているが、舞台はあくまで現実世界である。
このため、魔法や異世界転生、モンスターなどあまりに非現実的な要素は含まれない。
『世にも奇妙な物語』程度のファンタジー要素が混入している程度である。
キャラクターには、現実:虚構の比率がある。(どれだけ現実の人間に即しているか)
現実:虚構の比率は
ライトノベル 1:9
だとしたら、
キャラ文芸は 4:6 ~ 6:4
くらい。キャラクターといっても、ラノベより現実の人間に近づける必要がある。
●謎好き乙女シリーズを通したキャラ文芸の構造分析
謎好き乙女と奪われた青春
刊行 2015/2/28
瀬川 コウ (著)
上記の作品で、キャラ文芸の構造を考察してみる。
ヒロイン・ミステリー小説好き、推理好きの美少女。事件を呼び寄せるミステリ体質の主人公を脅して疑似恋人関係になり、ミステリーな事件満載な青春を謳歌しようとする。
毒舌で主人公を振り回す小悪魔。
自分の欲望のままに主人公を振り回すのは、涼宮ハルヒなど学園物ラノベのヒロインのテンプレ。
毒舌で、普段は主人公を弄って支配しているように思えるが、ピンチになったら助けてくれる。本当はこの娘、主人公のことが好きなんじゃないの? と匂わせる。
これはラノベのツンデレ的な要素。
主人公。なぜかミステリーな事件を呼び寄せてしまう特異体質。事件を解決しようと推理するも推理は間違っており、ヒロインが真実を言い当てる。
シャーロックホームズで言えばワトソン役。
ヒロインに支配されていることを不幸に感じているが、傍から見れば美少女と恋人関係にあるという羨ましい状況。作中でも、人間関係の真実など、当人たちにもわからない、などと言及し、疑似恋人関係であるが、本当の恋が芽生えるのではないか? という期待感を煽っている。
これは少年ジャンプのラブコメ『ニセコイ』。
『とある魔術の禁書目録』の上条当麻の置かれた状況を踏襲した、ラノベ主人公テンプレである。
主人公とヒロインの設定は、学園物ラノベのテンプレに沿って作られている。
●ラノベとは違う点。「知的な喜び」
ヒロインと主人公の会話は、ラノベでは、ヒロインが主人公を虐めているように見えて、実は本音を主人公にぶつけて甘えている。イチャついているというのが本質。
「謎好き乙女と奪われた青春」シリーズでは、これを踏まえながらも、様々な伏線や含みをもたせた会話をしており、読者は先の展開を予想するために、何気ない会話も注意して読む必要がある。
また、会話そのものもウィットに富んでる。
このため、うわっ、ヒロイン、頭いい! という知的な喜びがある。
キャラ文芸では謎を解く知的な喜びを物語の売りにしている。
疲れた読者の承認欲求を満たすため、読書の敷居を低くするために、知能指数を徹底的に下げたタイトル、内容にする必要があるラノベとは、この点が大きく異なる。
「謎好き乙女と奪われた青春」シリーズは、各章の副題として、
一章「誰にも気付かれずに花束を一瞬で入れ替える方法」
二章「四列離れた席からカンニングする方法」
三章「一日で学年全員のメアドを入手する方法」
など、それってどうやるの?
と、読者に興味をもたせ、考えさせる謎を提示している。
なろう系ラノベのタイトルが「異世界で魅了チートを使って奴隷ハーレムをつくってみた 魅了王の覇道 」といった、即物的な欲望を刺激する物であるのとは対極的である。
本格ミステリーとの違いは、日常を舞台とし、できそうで、できないライトな謎であること。
ミステリー初心者が読むにはちょうど良い難易度。あくまでライトミステリーであると言える。
●ラノベとは違う点。「重い展開」
これは謎好き乙女シリーズの特徴であり、キャラ文芸すべてに共通することであるとは言えないが、ラノベでは忌避される傾向のある重いストーリー展開になっている。
ラノベの売りとは、軽快に読めること。気分爽快になれることだが、謎好き乙女シリーズは人間心理を深く描いており、人間の闇の部分にも迫っている。
具体的には、いじめ、スクールカースト、これらが絡んだ教室内の陰湿な人間関係など。
主人公はスクールカースト下位の人間であり、上位の人間である美少女ヒロインと疑似恋愛関係を結ぶことで、周りの人間から嫉妬され、悪口をばらまかれたりする。
このような展開は、オタクが憧れる理想的な青春を描いた学園ラブコメ系のラノベではあり得ない。
爽快感より、リアルな人間心理の描写、社会風刺に重きを入れたストーリーになっている。
ラノベのテンプレをスクールカーストが絡んだいじめに応用した点は、興味深い。
●読みやすくする工夫。一話完結の短編を組み合わせた長編
「謎好き乙女と奪われた青春」シリーズは、一話完結の短編集でありながらも、短編それぞれがストーリー的に連続しており、短編が組み合わさって長編となっている。
これは、『ビブリア古書堂の事件手帖』と同じ構造である。
現代の読者は情報の洪水の中におり、仕事や勉強で疲れているため、なるべく読解の負担を減らす必要がある。
キャラ文芸では、この解答として、すぐに読める一話完結の短編でありながら、長編ストーリーにもなっているという、長編と短編の良いとこ取りをした構成になっている。
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投稿者 ナツノコタツ 投稿日時: : 2
小説にしても、物語にしても美男美女のイメージをしがちなので、説明のくどい文芸作品は疲れるのではないでしょうか?
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