とりあえず、一話を読みました。
単刀直入に総評を述べると、設定やストーリーやキャラクターなど面白く出来上がっているものの、構成や演出で損をしている。と思いました。
まず、ストーリーですが、異世界転移という王道な物語に、ドラゴンや一つの島やブロック宇宙など、さまざまな面白い設定が付け加えられ、いい意味で変わったストーリーになっていて面白いです。
キャラクターなども、個性豊かなキャラクターが多く、寺ノ城やジュリアなどのコミカルな描写は面白かったです。ただ、その前のシークエンスで重たい話が繰り広げられていた中、唐突なコミカル要素だったので、些か戸惑いました。
主人公に関してですが、マーフォークという変わった種族であるのは面白いですが、主人公と言うものは読者が感情移入する存在であり、やはりここは普通の人間の方が良かったような気がします。どうしても、マーフォークの主人公を描きたかったら、異世界転移後になぜかマーフォークになってしまった。とした方が良かったような気がしました。
前述しましたが、ストーリー、キャラクター、設定は面白く、特に設定はなんでもござれなカオスな世界観の中、違和感のないようにしっかりと設定がなされているので、面白いです。
しかし、構成や演出でこの作品のリーダビリティーは下がってしまっていると感じました。
特に、序盤からの説明の多さは致命的と思えます。せっかく素晴らしい世界観なので、それを最初から見せたくなるのは分かりますが、読者が見たいのは設定、ではなく、ワクワクするシーンなのです。設定はその後に小出しすれば良いのに、この作品は最初から説明の連続で、せっかくの設定の魅力が半減しているように思えます。
そして、その説明描写も若干、不親切です。父島というワードから日本だと分かりますが、マーフォークやブロック宇宙などが存在するのは、現実の日本ではない、そう言った部分が直感的に分かりにくく、説明描写を入れるべきなのに、これが説明されるのは一話の後半、すこし遅いです。
それ以外にも、異世界なのにアニメやゲームが異世界人に伝わる、これに関しても、いろんな世界から人々が集められた、という設定を知っていればひっかかりませんが、それが説明されるのも後なので、これもまた、うん? と首を傾げてしまいます。
それと、五感の描写も少なめです。五感の描写は主人公に感情移入させる効果を持つので、適宜入れた方がいいかと思います。
私はせっかちなので、説明描写ばかりのストーリーの進みは冗長に感じました。それと、最初から沢山キャラクターを出すのも混乱の元です。本作はキャラの書き分けがしっかりされているので、混乱まではしませんが、最初は主人公と妖精だけで話を進めて、少しずつ、キャラクターを出していけばいいかと思いました。
まとめますと、ストーリーやキャラクター、設定は面白いが、不親切な説明描写などが、リーダビリティーを下げている。と言った感じです。