俳句添削道場(投句と批評)

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病夫背におい砂丘行く友冬入り陽

作者 田中喜美子  投稿日

コメント(俳句の意味。悩みどころ)

亡き夫のリハビリ中に、病院仲間たちと鳥取砂丘に旅行しました。元気な奥さんが旦那さんをおぶって砂丘を歩く姿が心に残っています。

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「病夫背におい砂丘行く友冬入り陽」の批評

回答者 かぬまっこ

おはようございます👋😃☀
平果様の丁寧な鑑賞と添削✨素晴らしいです。
私はシンプルにリズムを整えました✨(*^^*)

🔷夫背負ひ砂丘行く友冬入り陽

「夫(つま)背負う」とすることで病気ということは想像できると思います。

句の評価:
★★★★★

点数: 0

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寒砂丘病みし夫負ひたもとほり

回答者 平果

句の評価:
★★★★★

病院仲間との御旅行は、病魔に対して奮闘された御褒美のようなものであったのでしょうか。共に癒えたことの喜びは、独りで感じるものと比べて幾層倍も深かったでしょうね。そんな深い共感を持ち合える仲間と眺める、何処までも広がる砂丘の印象は生涯忘れ得ないものになるでしょうし、その中のお一方がいまだ病身の旦那様を背負われて同行する様は、それ以上に心を打つものはなかなか無いと思われます。

句に盛り込みたい要素はたくさんあります。
①砂丘に在るということ
②病院仲間との旅行であること
③友達がいま病身の旦那様を背負っていること
④冬の入日の時間帯であること

この全てを盛り込むことは私の技量では難しいので、①③に絞ることにしてみました。①砂丘であることは絶対に外せません。③があれば②は連想がつくかもしれませんし、より重要なのは③の姿だと思いました。④も入日時に共に眺めた砂丘の印象を残したくはあったのですが、音数の限りがあるので、他の季語を探すことにしました。というのも、「どうにか砂丘を季語として詠み込めないだろうか」と考えたのです。インターネットの力を借りて探してみると、良さそうなものがありました。

一条の轍がつづく寒砂丘/島村正
空林に投網捨て積み寒砂丘/加藤耕子
風紋が生きて居るなり寒砂丘/池谷/修
https://www.haiku-kigo-ichiran.net/ku2845/

この「寒砂丘」を用いれば、季語で砂丘を言い表すことができます。五音なので上五にも下五にも使えそうです。

中七は「病みし夫負ひ」として、最も印象的な姿を詠みました。「夫」は「つま」と読ませれば七音です。

さて、残りの五音をどうするか。病院仲間の友達が行為の主体(つまり、旦那様を背負っているのは友達)ということを五音で詠むのは難しそうです。ここでふと昔目にした句が浮かんできました。

探梅やみささぎどころたもとほり  阿波野青畝

「たもとほり」という言葉は「同じところを行ったり来たりする。さまよう。」或いは「回り道をする。遠回りをする」という意味です。病身の旦那様を背負ったまま、ゆっくりと砂丘を歩き回る様は、この句の心に合っているのではないかと考えました。

貴句にあった「友」も「陽」も省いてしまった上に、「寒」の字も入れてしまったので、寒々とした印象が強まったかもしれません。そこは「たもとほり」の持つ、仄かな温かみに頼る他なさそうです。僅かでも御参考になれば幸甚です。

点数: 1

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添削対象の句『病夫背におい砂丘行く友冬入り陽』 作者: 田中喜美子
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