「奈良漬をかむ音かわく秋思かな」の批評
添削した俳句: 奈良漬をかむ音かわく秋思かな
げばげば様
まずは拙句への批評をありがとうございました。独学、というのもおこがましいような、我流で詠んでいるだけの小人です。私個人としては、音としての気持ちよさと、句の奥行きを重要視しており、ある意味ルール無視の詠歌が多いかと思います・・・読者の想像の中で完成しうるような句作を目指しつつ、いずれは俳句の型、基本原理にのっとっていければ、と思っております。精進します。
さて御句についても、俳句としての評価については皆様にお任せするとして、個人的な感想を…
・「秋思」と「音」の取り合わせが面白いな、と思いました。「かわく」というからには、冬の乾燥も近づいてきた、晩秋の句なのかと思います。
あるいは「秋思」の持つもの悲しさから来る「かわき」なのか。
・「奈良漬」と「かわく」の是非。奈良漬を噛むぽりぽり言う音は、そもそも乾いて感じられる気もします。「かわく」を変えるか、「奈良漬」を変えるか・・・とはいえ、どちらも惜しい気がして、なかなか難しいですね。
・主体の状況を、ヒント程度でも伝えられたら、より句としての完成度が高まる気もします。(それこそ、読み手にゆだねれば良い、というのが私の個人的な立場ではありますが・・・笑)
私が勝手に想起したのは、独居男性(それも、都会の中年・・・というのではなく、田舎の老人、のような)の孤独な食卓、でした。虫の鳴き声も聞こえるような、まさに「秋思」を感じざるを得ないような状況で、奈良漬をぽりぽり噛んでいる寂しさ・・・というように読みました。
もし私が詠むのであれば、
奈良漬をかんで秋思にひたりけり
かむ音もかわき奈良漬にも秋思
などでしょうか。
点数: 3