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タイトル:カラーシンドロームの批評 投稿者: 大野知人

 大野です。
 今までもそうでしたが、大変読みやすい文章だったと思います。

 ただ一方で、冒頭の冗長さがネックだなぁ、とも感じます。
 カラーシンドロームの場合、冒頭は
①ウィリアムのボトルメール
②町の構造に関するウンチク
③新しく赴任してくる先生の噂話
④ドットーレによる長ったらしいお説教(と一部世界観の紹介)
 となっており、物語が動き出すのに非常に時間が掛かってしまっている印象です。

 そのため、冒頭の段階で若干の『飽き』が来るかなぁと思う次第。
 以下。個人的に減らせると思う事。

①冒頭のボトルメールですが、まず文章が長いです。個人的に、SF冒頭に登場するこのテの手紙ってのは『短くて、やたら意味深』なことに意味があると思うので、もっとコンパクトに『不幸の手紙! 色盲! 意味もなく救いを求める男!』みたいな要所だけ絞った手紙の方が、良いと思います。
 あと、『SFっぽさ』を言うなら、ボトルメールの時点ではウィリアムの名前を出さない方が良いと思います。ハッキリと名前を出してしまう事によって、本編時系列と冒頭の手紙が書かれたタイミングを読者が悩むことになりかねないし。

②町の構造に関するウンチク。『切り立った崖に合わせて作られた、やたら歪な街』と言うのはとっても良いのですが、その後の逸話はいらないような気がします。物語の本筋と関係ないし。

③ドットーレ登場前の噂話。これは良いと思います。

④ドットーレのお説教。と、世界観説明。ドットーレ先生がどれくらい重要なキャラかまだ分からないんですが、現状では『地の文で「やたら長くて、厭味ったらしいお説教をした」ぐらいの描写では駄目なのかな?』と思う次第。
 『核戦争が~』とか『人の住む場所が無くなって~』とかは、今はいらない、かなぁ。さも『現代』っぽく書いて置いて、伏線だけは張りつつ、どっか重要な所で読者にネタバラシした方が意外性があるし、作品世界が抱える『若干のいびつさ』みたいなのが目立っていいと思う。
 
 死神の外見について。『単純な黒ではなく、沢山の絵の具を混ぜて行った結果生まれた黒のような』と表現されていることに違和感。
 色が見えないウィリアムの幻覚な訳だけれど、それを三人称視点で冷静に描写しているので、変な感じかなぁ。
 むしろ特別感を出すために『ウィリアムは死神に関してだけいろの判別がつく』みたいにはっきり書いてもらった方が良いかも知れない。

 ルカが謝るシーンの入りが唐突、かなぁ。
 『絵の具が指に吸い込まれる』という、かなり唐突なSFが起こった後だったので、何事もなく日常に戻っていることが(ウィリアムの精神描写として)違和感があるし、『もう友達ってことだよね?』と言うルカのセリフの直後に当たるシーンなので、一瞬『何があった!?』となります。

 核戦争による大地の汚染、も後回しで良いんじゃないかな? 普通に『研究都市』で。個人的には『幻覚と色盲に悩む少年』と『元気少女』のちょっと不思議ラブコメとして読み進めて、ある瞬間からガラッと『実は近未来SFだったんだよ!』となる方が好みです。

 ドットーレによるカラーシンドロームの説明。ここ、もっと高圧的な方が、より『らしい』気もします。具体的に言うと『つまり、お前は貴重な検体という訳だ』ではなく『同情などではない。むしろ、このドットーレ・カルパッチョの被検体にしてやろうというのだから、光栄に思えよ!』くらいの感じ。
 完全に余談ですが、『ガンダム Gのレコンギスタ』のクリム・ニックと言うキャラを連想していたので、良かったら参考に。

 ルカがサンドイッチを持ってくるシーン『サンドイッチがはいていた』になってる箇所が有りますね。誤字報告。

 指摘点はこちらにまとめたので、総評と良かった点は以下。

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