季語を詠む 《3》
・冬林檎
冬林檎/ふゆりんご
三冬
寒林檎
林檎の収穫は秋に
終わるが、収穫
後に凍結しない
程の低温に貯蔵
して冬に食べる。
まつさらな空がいちまい冬林檎 市原光子
思慮深し鏡の中の冬林檎 大竹広樹
刃をあててかがやきが増す冬林檎 今瀬剛一
二番目の孫は女よ冬林檎 小俣由とり
病者あれば小さき幸欲し冬林檎 角川源義
実の緊まりよき冬林檎真二つに 橘川まもる
あかあかと柩の底に冬林檎 藺草慶子
冬林檎宇宙ひろがる話して 鎌倉佐弓
俎を傷つけて割る冬林檎 今瀬剛一
不平あらば壁に擲て寒林檎 日野草城
机上の林檎一つあかるし冬の真夜 原 裕
ひとり剥く冬の林檎を廻しつつ 林 桂
黒きまで冬の林檎や養母の忌 川口重美
One point
風が吹く仏来給ふ気配あり
高浜虚子
虚子の句は、その時の気持ちをストレートに剛直に詠んだ句が多い。
決して上手く詠もうとしていない。大事なことです。
冬林檎//寒林檎で一句どうぞよろしく。