季語を詠む 2
・侘助/わびすけ
三冬
侘介
ツバキ属のなかでは、葉も花も小ぶり。白、紅、しぼりなどの一重が半開きに咲く姿は日本人好みで、茶花としても重用されている。
侘助に斜めの日差しとどきけり 大西 土水
侘助の二つの花の一つ落つ 都甲 君子
もつるるは白侘助の心の緒 長谷川秋子
竹林を逃げし日ざしの侘助に 上村占魚 『石の犬』
利休忌の山内松と侘助と 皆吉爽雨
インタビュー受く侘助を活けにけり 堀恭子
侘助や褪せし葉書の男文字 谷口桂子
白侘助遺言二十七行半 塚本邦雄 甘露
侘助は一輪ざしに似合うもの 高浜年尾
侘助に風立つゆふべもの食べに 鍵和田釉子
侘助や独りの刻の真白に 加藤知世子
年つまる黒侘助の花一つ 松村蒼石 雁
・One point
俳句はへらず口である
云いたいことを云うべし
老はいやしぬこともいや年忘れ
風生
富安風生
1885~1979
愛知県八名郡金沢村生まれ
東大入学後、水原秋桜子、山口青邨らと東大俳句会を興す。
高浜虚子に師事し、ホトトギス同人となる。
卒業後は逓信省役人となり、次官を定年退職後は句作三昧の生活に入った。
侘助で一句どうぞよろしく。