添削道場
秀句の42
◎耳朶に触れマリオネットとなる夏夜
作者:酔いどれ防人
投稿日時: 2017年08月24日
掲句は秀句というより、その一二歩手前というべき作品です。
基本的な点を少し直せば秀句となり得る俳句です。
原句の問題点。
句意不明。何が耳朶に触れ、何がマリオネットとなるのか、さっぱり解らない。
夏夜/の季語も何も語らない。
添削句
・蚊の鳴くやマリオネットとなる赤子
これだと
蚊がブーンと来て赤子の手が(蚊に操られる)マリオネットのように宙を舞う。
図が浮かびます。
◆蚊/か
三夏
藪蚊/縞蚊/赤家蚊/蚊柱/蚊の唸り/蚊を打つ
ハエ目カ科の昆虫。
夏場現われて、人
畜を刺しその血を
吸う。飛ぶ時羽音
をたてる。血を吸
うのは雌の蚊だけ
である。いろいろ
な病原体を媒介す
るので、注意が必要。
わが宿は蚊の小さきを馳走なり
芭蕉 「小文庫」
蚊の化やつひにあらはすタ烟
高政 「おくれ双六」
蚊や人を夜は食らへども昼見えず
調和 「伊勢踊」
こころよやけふの湯あみに蚊が逃げる
来山 「元の水」
群かへる蚊のかたまりややまかづら
言水 「柏崎」
うき人に蚊の口見せる腕かな
召波 「春泥発句集」
◆先ず蚊の羽音から入りました。 すべてはそこから始まるからです。 ①俳句は季語を生かすことです。 ②俳句は切れで二つに分かれます。 ◎蚊の鳴くや// マリオネットとなる赤子
◆俳句をつくるつもりなら、季語と切れを頭に叩き込んでください。
陽炎 記