金子兜太の朧月の俳句と悠さんのコメント、楽しく鑑賞させてもらいました。金子兜太は私にとって難しい印象もありますが、同時に自由で力強い作風に魅力を感じる人でもあります。いつかこんな詠みかたも出来たらなと思うばかりです。
さて、奇しくも私が今回紹介させてもらう俳句は、ある意味その真逆のタイプかもしれません。多分、そこまで有名な俳句ではないのですが
山の田をこぼれきしとも稲雀
稲畑汀子
上五中七の主語(籾と思われる)、そしてもう一つの対象物が下五で一気に明らかになります。そしてそこで映像がくっきり浮かぶ、そんな作品ではないでしょうか。読み進める過程をより楽しくする緻密な技を感じました。