鳥曇おかずを作りすぎる癖
作者 塩豆様
季語・鳥曇(とりぐもり)(春・天文)
ガン・カモなど秋冬を日本で過ごした渡り鳥が北に帰る頃の曇りがちの空
評価
そこそこの年齢のお子さんを持つ母親の視点で、鳥曇の日の何気ないワンシーンを描写したものだと読めた
鳥が北の空へ帰っていく喪失感と、休暇明けの子供がそれぞれのところへ帰っていく喪失感が共鳴しているように感じられた
このおかずをつくっている人は、指摘されるまで「おかずを作りすぎる癖」を意識しなかったのだろう
小さな発見が詩を生み、きちんと映像が立ち上がっていく
読み手の想像力をきちんと信じている、親心ある一句だ
余談ではあるが、この「癖」に代わる言葉は見つけられなかった
きっと、子供が長期休暇で「癖」と呼べるほどになってしまったからだろう