葱買うて枯木の中を帰りけり
現代語 葱を買って枯木を抜けて帰宅する
解説 上方(関西)で生まれ育った蕪村の作であれば葱は頭から根まで青い葱であろう。画家でもあった蕪村は庶民の所作の何気ない瞬間に青々とした葱とモノトーンの枯木のコントラストを見い出したのかも知れない。
易水に根深流るる寒さかな
現代語訳 易水(中国の川の名前)に根深(葱)が流れている寒さだなあ
解説 この句も現代では季重なり。「風蕭々(しょうしょう)として易水寒し。壮士一度去ってまた帰らず。」の本歌取りと思われる。生活用水に流れる葱を見た蕪村の実感から本歌取りへと繋がったのではなかろうか。
葱の花ふと金色の仏かな
現代語訳 葱の花 思いもかけず金色の仏だなあ
解説 作者は蕪村ではなく川端茅舎だと思われる。私には大小あるいは色の対比を狙った句だとしか理解できかねぬ。
以上。