初めまして。以下、所感です。
まず、あらすじの「MG」が何であるか分からない点がややストレスだと感じました。
医療の進歩に伴い生まれた、遺伝子に何らかの手を施された超人であろうことは分かるのですが、あくまで読み込んだ上での推測であり確証までは持てません。もう少し分かりやすい大枠を設定いただいた方がとっつきやすい印象です。
次に、冒頭部分について。緊迫感のある状況設定で、読み進めたいと思える展開でした。
ただ、主人公が中性的な名前であったため、「俺」との一人称が出るまで性別を誤認していました(男性ですよね?)。ミスリードの意図がないのであれば、もう少し早い段階で提示いただけるとストレスが無いように思われます。
また冒頭部分の内容に関して、表現したいことは「MGが弾圧されている状勢、その状況を当然と思う多くの人々、その中で『そんなのは間違いだ』と抗う主人公」であろうと読み取れるのですが、その上で「主人公は善である」と断じるためには情報が不足していると感じました。
現に被害が出ているらしい状況、そして実績をあげられていないという主人公への評価を加味すると、「綺麗事を言うばかりで実践が伴っていない偽善者」という読み取り方も出来てしまいそうです。
(4話まで読めば「ゼロ」の所以はわかりますが、具体的に何をしているかが不明瞭であるためやはり「善」の印象には不確実さが残っているように思われます)
温度感を見るに、アニメ「PSYCHO-PASS」の第一話など参考になるかもしれません。
最後まで拝読いたしましたが、骨組み自体は王道の組織ものに近い一方で情報の出し方に引っかかる箇所が多いと感じました。
以下、箇条書きの一覧です。
・冒頭の男は何故・どの程度の暴力を振るったのか?
…暴力という時点でかなりアウト寄りである(犯罪者扱いが妥当になる)ため、同情の余地があるなら早めに提示してほしい
…具体的な状況が見えないため、推測を立てることも難しい
・主人公が個人ではなく組織として活動するのはなぜか?
…組織に所属する限り、人権侵害的な捕獲手段やそれを是とする同僚とは不可分なのに何故?
…内側から変えたい、というのであれば実績ゼロに疑問がある(実績にはカウントさせた上で裏で助ける、が理想では?)
…4話の内容を見る限り「実績ゼロ」からして組織の手を借りている気配がなく個人でMGを助けているように見えるため、組織に属する動機がわからない
・MGの内実が不明瞭
…フィクションだとしても、リアリティの裏付けとなる設定は最初の段階で欲しい
(なぜ生じたのか、肉体と脳どちらが変質しているのか、などが不明瞭)
…仮に「実は黒幕がいて人為的に生み出された存在である」という設定なのだとしても、世間一般でどう解釈されているのかが気になる
(第三次産業革命の設定が浮いて見える、MGの現象が人為的に可能な範囲なのかどうかが不明瞭)
・MGを捕らえる側の面々は、第三次産業革命に由来する類の身体強化を施してはいないのか?
…MGの身体能力が並外れているなら視野に入る手段、
逆に身体能力がそのままなら普通の犯罪者と違う扱いをする説得力が必要
・主人公の思想と細谷の思想、どちらが主流なのか?
…この世界における世論のスタンスが不明瞭
…組織内部でも上記二人以外はあまり反応から思想が見えない
・主人公と千鶴の関係性がよく見えない
…十年教わっていながら理由を話したのは今回が初めて?
(たとえば普段は寡黙なのかがわからず、説明的に提示されたように見える)
…主人公が自己開示をする性格なら今まで話していなかったのは不自然であり、そうでないなら今話した理由が必要そう
(MG融和派なのを隠していないあたり前者?)
・MGたちが「化け物」自認なのが素直すぎる?
…この手の話は大体どちらの陣営も「自分たちが正しい」と思っている印象
…「助けの必要な弱者が、助けたくなる姿をしているとは限らない」まで踏み込めれば主人公の善性をより引き立てられそう
(「人懐こい子犬」と「人間不信の猛犬」を並べた時、前者はある意味誰でも助けられるが後者を救うには相応の覚悟と時間と胆力が必要。物語の主人公に必要なのは後者の希少性?)
見落としがあり、作中で言及済みの内容に誤って指摘を入れておりましたら申し訳ありません。
以上、何かしら参考になりましたら幸いです。