一度目は全体像を把握するためほとんど流し読み、二度目はもう少ししっかりと、計2回読ませてもらいました。
「ジャコウアゲハが恩返しにくる話」をそのまま書いたという印象。
それはちゃんと書けているので相談板のほうで言われていた 手堅い そつなくまとまっている という感想は、私もそう感じた。
これは、物語というかテーマとしては「ダメな男が立ち直る話」で、それを「ジャコウアゲハが恩返しにくる話」でパッケージングしてる形かなと思う。
そうすると外観は「恩返しに来る話」だけど、中身は「ダメ男が立ち直る話」なわけで、話の中心に来るのは「男はどうやって立ち直るのか」ってことで、その「立ち直れない障害」に対する手段が作品の売りになるから、ここで 売り つまり目立たせたい押し出したい要素は「ジャコウの恩返し」なので、「ジャコウの恩返しがどのようにして男を立ち直らせるのか」が大事なんじゃないかな、と思う。
けど、ジャコウは普通に主人公の身の回りの世話をするだけで、もちろん行動としてはそれだけでもいんだけど、結果的に男は自分で勝手に立ち直ってるように見えるし、この部分が売りになるのにジャコウや主人公の状況説明をするだけで盛り上げてないように思えた。
たぶん、主人公の生い立ちとかジャコウが恩返しに来るに至った経緯ないし切っ掛けを説明するため猫が苦手とかそういう展開のためのシーンに文字数を取られて物語を盛り上げるところまで気が回ってなかったんじゃないかなと。
「障害」がわかりにくいかな。自分が大人らしく人間らしく行動できない理由はこれだと何かのせいにする主人公とか、その障害を乗り越えるためのジャコウも弱いから恩返しだけでなくそんな主人公を静かに叱咤して主人公も言い返すけどそれを切っ掛けに、とか。そういうのがあれば緩急がつくんじゃないかなと思った。
一応、ジャコウが主人公の良いところを挙げるテイで子猫から救ってくれた話をしてるけども、これだと立ち直る切っ掛けには弱い気がする。