まずは、あんま難しいことを考えず なろう っぽいファンタジーという妄想をぶつけているのが良いと思った。
特に込み入った設定などもないため読むに際して理解を要求するものではないから、状況を楽しみ登場人物の目的だけを追って読めばよい形になってる。頭からっぽにして場面場面が面白ければ楽しめるだろうから、行く先々でのトラブルやその解決が主な「物語」だろうと思う。
けれど、あらすじにある内容は状況説明がほとんどで、その物語のトラブルなどについては「ギャングの抗争に巻き込まれる」「ラスボスが同乗していて戦闘に」といった形で省略されていて、それらが「物語」として作られていない。
もちろんこれはあらすじであるから、省略していても良いだろうと思う。
けれど、ここまででこの内容にはいくつか別のトラブルが起こっている。
一つは「ヒロインが聖剣を抜けなかった問題」、一つは「奴隷少女が仲間に加入した問題」。
これらは問題としてあるけど、たぶん作者としてはそれをテーマにエピソードをまとめる気がなかったのか、あるいは問題(トラブル・話のネタ)があるということ自体に気がついていないのかな、と思った。
まず「ヒロインは聖剣が重くて抜けなかった」という問題があるのだから、これを解決ないし一段落させないと。
物語的には聖剣を抜いてヒロインが勇者として認められるとニホンへ旅することがなくなるから、「やっぱり聖剣は抜けなかった」というオチで小話をひとつエピソードにしなきゃね。
ここからは私の勝手な妄想を含む作成例でしかないけれど、あれこれ批評するより参考になるかなと思って書いてみる。
まず主人公とヒロインの心情としては、勇者と認められればおそらく生活面では安泰だしヒロインも一度は聖剣を抜こうとしてる以上は、抜けなかったね諦めようか、で簡単に終わるとは思えない。なら、「抜こうとしたら聖剣が折れてしまった」とか、これ以上聖剣を抜く挑戦が出来ない結果になってしまえば、いやがおうにも旅に出る結果になるから、ベターな展開かな。
とりあえず主人公とヒロインが再会してから、主人公としても「勇者」としての経験しかないから「ヒロインが勇者として認められること」が異世界で再会して真っ先に考える思考のはず。そうすれば生活はできるし戦闘以外ではヒロインは安全。戦闘面では元勇者の主人公が自分で出張ってヒロインに万が一がないよう守れば良い。
だから「もう一度聖剣に挑戦しよう」と提案する。そのためにはヒロインに筋力をつけてもらわなければならないし、それまでの生活をする必要もあるから「冒険者になるぞ」という流れになる。
そこで「奴隷少女を購入する」ということになる。
さて。
新キャラクターというのは、出せば良いわけではなくて、新キャラを出したならまず読者にそのキャラについて知ってもらう必要がある。
理屈を端折って結論だけを言うと、とにかく「新キャラで何か物語を作れば良い」。
それは1話~数話まるまるガッツリとしたエピソードでまとめても良いし、読者として読んでると気づかないくらいに小さく小ネタでまとめても良い。
第一章のテーマが「夢」なので、それに関連する要素で新キャラを使い物語を作ってみる。
例えば、「奴隷姫を自称する少女は貴族でも王族でもないことを認めながらも自分をお姫様だと思いこんでいて、絵本のように白馬の王子様が迎えに来てくれることを夢見てる」として、奴隷少女を買うことになって三人で初クエストに行くけれど、チームワークが上手くいかず奴隷少女はゴブリンに拐われてしまう。
助けに行かなきゃと慌てる主人公とヒロイン。
ところが奴隷少女本人は暴力や耐性には自信があったから、「あれ、これ王子様が助けてくれるっていう絶好のチャンスじゃね?」とか思ってワクワクする。
奴隷だからそのまま捨てられた可能性も考えながら、しばらくするとゴブリンたちが倒されていく気配がして、「王子様! きたこれ!」と期待するものの、いざ助けられると、助けてくれた相手は見知らぬハゲデブのおっさん冒険者だった。思わず奴隷少女は「チェンジ」とつぶやく。
主人公とは別のゴブリン退治を請け負ったチームに奴隷少女は助けられた。こうして主人公たちのもとに戻ってきた奴隷少女だけど、いつか王子様が来てくれることを夢見て、その日まで、買われた以上しょうがないから主人公たちの奴隷をすることになった。
……という感じの新キャラのエピソードを作っておけば、読者は奴隷少女を新しい仲間だと認識してくれるので、これはただの例だけど、何かしら新キャラのエピソードを作ってやったほうが良いでしょう。
で。
本筋はいまのとこ「ヒロインがもう一度聖剣に挑戦する」ということ(これも私が即興で考えただけの適当な例なので、あくまで参考例です)。
「ヒロインが冒険者として活動してる」という印象と「ちゃんと鍛えてる」という印象を出すために「冒険者」として行動させなきゃいけない。
けれど、それは先の「奴隷少女のエピソード」で兼用されて、ちゃんと冒険者としての描写はできてるから、主人公がヒロインを鍛えてるっぽいシーンをいくつか書けば問題ないでしょう。
不足だと思うなら「ムサシ」の登場エピソードもここでやってしまって、「ニホン」というワードを出して後の展開の布石としておくのも良いと思う。
そうして「冒険者として一応生活できるくらいになったヒロイン」がもう一度聖剣に挑戦し、聖剣を引き抜くことに成功する。
やったな、とヒロインを褒める主人公だけど、ふと、そういや聖剣に見覚えがあることに気がついた。
そして主人公が聖剣に触れると、聖剣はバグってポッキリと折れてしまった。
今生では勇者ではない主人公だけど、元勇者という事実が、しかし勇者は二人も存在しない、でもヒロインも勇者である。あり得ないことに勇者が二人いるから、ありえないことに聖剣が物理的に2つになった。結果、真っ二つに折れた。
「ヒロインが勇者と認められて生活安泰、危険からは主人公が守る」という当初の計画が全て流れてしまい、そんなときにムサシの言葉を思い出して、ニホンへと向かうことにした。
……と、こんな感じかな。
とりあえず「ヒロインが聖剣を抜けなかった問題」はこれで一段落して解決した。「奴隷少女が仲間として加入した問題」は本筋の「聖剣に再挑戦」の道中で奴隷少女のエピソードを加えたことでキャラを知ってもらえたと考えるので解決した。
その後の展開は、「飛空艇のチケットを入手」が小目的になって、そこで巻き起こるトラブルが「勇者を名乗ったことが原因でギャングの抗争に巻き込まれる」という展開だろう。
で、これはあくまで「飛空艇のチケットを入手」という小目的を果たす過程でのトラブルなので、言い換えると「チケット入手の障害としてギャングの抗争」があるので、結論として「ギャングの抗争を解決したからチケットが入手できた」となる必要がある。
まあ、「チケット入手」ではなく「抗争が原因で飛空艇が飛べない」とかにしたほうがスマートかもしれないが。
初心者とのことなのであんまり気にせず妄想爆発させて情熱だけで書いたほうが良い結果になると思う。
最後に。
ここまで書いたこと、また私の作例などは、あくまで例なので「こうした方が良い」って話じゃないのを理解してください。
例えば、私は「ヒロインが聖剣を抜けなかった問題」として、これを第一章の本筋に据えて「聖剣に再挑戦する」というラストそして「抜けたけど折れた」というオチで第一章をまとめました。
けど、これにはミスがあります。
スレ主さんは第一章のテーマとして「夢」があると書かれていますが、私はその「夢」というテーマの回収を無視して「聖剣に再挑戦」でまとめてオチにしちゃいました。
道中の「新キャラのエピソード追加」では多少は意識して「夢」にからめたエピソードを作ったつもりですが、第一章の本筋では無視してます。
本当なら「夢」に絡めて組み立てなきゃテーマを回収できないので、「夢」をテーマにした物語としては大きな失敗であります。
ただ、作例や考え方として間違ってるつもりはないので、繰り返し、これはただの例であって参考でしかないよ、と念押ししておきます。
ちなみに気が付いたかもしれないけど一応指摘しておくと、これはスレ主さんも出来てないことで、「夢」がテーマだと書いておきながら第一章は「夢」どころかまとまってすらいない状態です。
そこに私の作例で、とりあえず「物語としてまとめる」という事を知ってもらって、その上で自分のテーマを込めてまとめることが出来るかな、と。