乳呑み子の涎を拭ふ雨水かな
作者 腹胃壮様(実力のある方)
季語・雨水(うすい)(春・時候)
二十四気の一つ
立春から十五日目で、陽暦二月十九日ごろ
雪が雨に変わり、草木が芽吹き始める時季
評価
乳呑み子を抱いて、ミルクを呑ませている母親を想像した一句であると私は判断した
雨水(うすい)のイメージには地域差があるのだが、激しい雨が降る頃ではないだろう
乳呑み子のやわらかさ無邪気さなどと、本格的な春を迎えようとする期待を託した「雨水(うすい)」との相性がとてもよい
時候の季語に感情を託すのは、季語をきちんと知らないと怖くて出来ないものだ
そういった季語を理解できる読者が増えてほしいものである
句会で選ばれる句は基本的に「ちょうどよく口説い」ものだが、こちらの力作はきちんとした軽さのある句となっている
自信が感じられる句なので、「かな」ではなく「なり」と言い切ってしまっても良いと思った