「波打てば揺れる人波夏の海」の批評
回答者 長谷機械児
添削した俳句: 波打てば揺れる人波夏の海
イサクさん、こんにちは。
御句について。
何か不自然なんだなあ…と考えて、思い当たった点をいくつか。
・「波打つ」の意味。国語辞典的に第一義は確かに“波が寄せてくる”なのですが、実際の使用でよく見かけるのは二番目の意味の“波のような起伏がある/波のように揺れ動く”のほうだったりします。上五に唐突に「波打てば」とくると、波状になった何かの比喩なのか? とまずは受け取るものではないかと思います。
・「揺れる人波」。これまでにコメントされている方々は当たり前に把握出来ているみたいなのですが、私には最も引っかかる言葉遣いでした。「人波」というからには、大勢の人がひしめきあって波のようになっているわけで、海の波が来ようと来なかろうと、もう揺れているのでは?
・季語「夏の海」。今回、月曜のN先生のコメントで「夏の波」(角川の歳時記では「夏の海」の傍題)の句も“ひとまず頂いております”とされていましたが、この句はまさしく「夏の波」で一句にすべきものだったろうと思います。
季語「夏の波」から始めて、「揺れる」を別の語に変えて、という案を、
夏の波打てば崩るる人の波
今後ともよろしくお願いします。
点数: 5