「盆過ぎてぽたりぽたりと蝉の腹」の批評
回答者 なお
添削した俳句: 盆過ぎてぽたりぽたりと蝉の腹
櫻井真由美さん、こんにちは。
御句、拝読しました。その感想と提案句を置かせていただきます。
御句、情景が鮮やかに浮かび上がり、共感しやすくて好きな句です。
季節の変わり目を、その季節の代名詞と合わせて上手く詠んでおられると思います。
ただ、げばげばさんが言っておられるように、「盆」と「蝉」と季語が重なっています。音数制限がありますから、どちらか一つにしてみましょう。
「ぽたりぽたり」。上手い表現です。実際は、見ているうちにぽたぽた落ちてくるわけではない。しかし、それまでは木にしっかりとしがみついていた蝉が気がついたら路上にいる様は、まさに「ぽたりと落ちた」と言い得て妙であります。
私は最初は「あちらこちらに」とかどうかと思いました。実景としてはこの方が適切かもしれませんが、気持ちを付加すると「ぽたりぽたり」ですね。
下五「腹」。上手いなぁ。私が同じ情景を詠んだら「亡骸(なきがら)」とかにしそうです。ただ、これは提案句のところで言いますが、必ずしも死んでいるわけではない。だから腹でいいのですね。
提案句ですが、まずは季語「盆」を使わない句です。
「満ち足りてぽたりぽたりと蝉の腹」
本当に満足したかは当人(当蝉?)でなくてはわかりませんが、とりあえず、子どもにも捕まらず、鳥にも食べられずに天寿を全うしたのだろうと。
「蝉の腹これでどつこい生きてゐる」
腹を向けてこんな路上にいるが、まだまだ死んじゃいないぞ、という蝉の意地(?)を示しています。
次に、「蝉」を使わない句。
「盆過ぎてぽたりぽたりと命落つ」
私のコメントは以上ですが、先にコメントを寄せてくれたげばさんはとても丁寧にアドバイスしてくれています。「十日目の蝉」もいいと思いますよ。「八日目の蝉」より少し長生き。
点数: 0