「初秋刀魚一尾ちびちびつつきをり」の批評
回答者 小西晴菜
添削した俳句: 初秋刀魚一尾ちびちびつつきをり
イサク様。いつも丁寧なアドバイスをありがとうございます。なかなか返信できず申し訳ありません。
御句を拝読して、曾祖父を思い出しました。私が生まれた時にはもう亡くなっていたのですが、子どもの頃、法事などで親戚があつまると、大人たちはいつも同じ思い出話をしていました。曾祖父は手先の器用な職人で寡黙、楽しみはひとり酒。好物の旬の焼き魚が一尾あれば、何時間もちびちび飲み、酔いが回って寝た後に皿を見たら、魚類骨格標本のようにきれいな残骸が残っていたとか。
そして、矛先が我々子どもに向かい、「じいちゃんの血を引いてるくせに食べ方が汚い」と説教が始まり・・・。
当時のおじさんおばさん連中も、みな鬼籍に入り、法事も親戚付き合いも簡素化して、曾祖父のことなどずっと忘れていました。でも、イサク様の「一尾ちびちび」で何十年も前のかすかな記憶がよみがえり、写真さえ見たことのない曾祖父が、何だか近しく思えてきました。
これも俳句の醍醐味ですね。
点数: 1