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「着ぶくれの隙間を抜ける深呼吸」の批評
回答者 イサク
添削した俳句: 着ぶくれの隙間を抜ける深呼吸
おはようございます。
御句、コメントなしですと、「着ぶくれの隙間」=「息もできないぐらい着ぶくれていて、息ができるようなわずかな隙間という比喩」と解釈し、「その隙間を抜けるように深呼吸をした」という句だと受け取りました。
コメントを読んで、表記上は切れていないですが「着ぶくれ」「隙間を抜ける」「深呼吸」で意味がぶちぶち切れているように感じます。
◆【着ぶくれの人が、(どこかにある)隙間を着ぶくれたまま抜けて、着ぶくれをしていて暑いから深呼吸した】という、長く言わなければ伝わらない因果のある散文を無理やり十七音にした形ですね。
表記上の三段切れを回避しようとして、いろいろ大変なことに・・
説明の最後のオチは「俳句はシンプルに」なのですが、一旦置いておいて。
◆ひとつめ。助詞・表記。
表記上、「着ぶくれの隙間」と繋がって読めることで「【着ぶくれの隙間】を抜ける」何かがあるのではないか?と読めます。
「隙間を抜ける深呼吸」こちらも連体形で繋がっていると受け取れるので、【深呼吸が隙間を抜けている】という意味で読めます。
◆ふたつめ。時勢・時間軸。
「隙間を抜ける」が現在形なので、「隙間を抜けてから深呼吸した」という意味にはとれません。
せめて接続助詞「て」を挟んで「隙間を抜けて深呼吸」とすれば行為の順番が成立しますが、そもそも時間軸が長すぎて「隙間を抜けて」→「深呼吸する」という行為ふたつを報告するような形になってしまっています。
この句の場合、季語がモノではなく「着ぶくれ」という状況を表す人事生活季語なので、さらに報告的・・
◆みっつめ。因果。
上でも書きましたが「着ぶくれているから暑い」「着ぶくれているから隙間を抜けるのが大変」「頑張って隙間を抜けたから暑苦しい」「暑苦しいから深呼吸」など理屈でつながりまくっているのも、詩を出しにくい理由です。
◆よっつめ。「隙間」の説明不足
この句の「隙間」が何の隙間か。句にある情報からは「着ぶくれの隙間」と思うしかないのですよね・・
この句の表現したいのが「深呼吸」なら、そもそも「隙間」という単語が要るかどうか?何か他に省略できる者はないか?
ということで、「着ぶくれていて隙間を抜けるのが大変」「着ぶくれていて(大掃除して?暑くなったから?)深呼吸した」など、もう少し要素を分けてシンプルに俳句にした方がいいかと思います。
自分の行動は報告的になりやすいですし、因果は説明的になりやすいですが・・・ご本人でさらに一工夫してみてください。
・着ぶくれて倉庫の隙間引っ掛かり
・着ぶくれや倉庫を出でてひと呼吸
点数: 4
「ネット越しラケット抱え御慶言う」の批評
回答者 イサク
添削した俳句: ネット越しラケット抱え御慶言う
こんばんは。
「ネット越し」「ラケット抱え」という情報を両方入れようとすると、やや説明臭くなるように感じます。どっちかだけ・・
と言いたいところですか、
確かにネット単独の場合は誤読は避けなければいけませんね。御句の組み合わせならラケットがあるのでインターネットの誤読はないと思いますが。
初心者としては
・ラケットを抱えて御慶言いにけり
・ラケットを抱えてをりぬ御慶かな
ぐらいから、かなあ?
点数: 4
「五日からただ繰り返すおめでとう」の批評
回答者 イサク
添削した俳句: 五日からただ繰り返すおめでとう
こんにちは。
一見して、
すごく良い素材を見つけていると思います!
日常のなにげない場面を切り取る。俳句の基本です!
それも、諧謔と季節性のある行動で、「客観的観察」もできていると思います。
上五「五日から」という言い方で、季語の「五日」がやや弱くなっていると感じたので、語順変更と、切れ字を入れてみたくなりました。
・「おめでとう」ただ繰り返す五日かな
観察力は俳句を作るための大いなる武器になります。
次もお待ちしています!
点数: 4
「天上の光凝りて雪降りぬ」の批評
回答者 イサク
添削した俳句: 天上の光凝りて雪降りぬ
こんばんは。
表現そのものは大変詩的で私も好きな感じなのですが、
実際に雪が降る場合は、風花などを除けば「雪雲」がそこにあり、一面に広がる分厚い雪雲により空が見えないケースもあると思います。その「雪雲の空」に対して「(雪雲で見えてない)天上の光が凝る」となると、理屈寄りのファンタジー、という気はしますね。
で、
表現したいことから察するに、上五「天上の」は省略可能なのでは・・
雪が上空から降ってくるという常識さえあれば「光凝りて雪となる」これで「空の光が凝って雪」という句意であることはわかると思います。
あとは上五の五音をどうするか、というところですが・・
ちゃあき様の句の勝負所は、「光が凝って雪となっている」という比喩を、十七音の残りの部分で「言われてみればそうかもしれない」と思わせる説得力だと思います。
げば様は現実の風景を足しました(ちゃあき様が納得できるかどうかは置いておきます)。
さて、ちゃあき様ならばどう推敲しましょうか?
私なら・・私にはこれは非常に難しい問題でした。説得力を上手く出せません。
なので違う形の比喩になってしまいます。
・天空の光の粒を雪と呼ぶ
でついでの話へ。
虚子の句について。
・金の輪の春の眠りにはひりけり
・秋天にわれがぐん〵ぐん〵と
これらの句はどちらも「自分」を詠んでいます。なので「自分が金の輪の中に入ったような春の眠さだ」「自分が秋天に向けてぐんぐんと○○したようだ」(○○の解釈は受け手にお任せします)と作者自らが感じていて、それを表現しているだけのことです。
自分の気持ちを比喩で表しているだけで、それを受け手が解釈し共感できるかどうか、という句なので、ファンタジーというわけではありません。ちゃあき様の句とは違うように感じます。
点数: 4
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