「梨かじる図鑑三冊開きをり」の批評
おはようございます。
コメントで語っていただいておりますが、ちょっと厳しめの感想になりそうです。
◆初読では「梨をかじる」→「図鑑を三冊開きをり」で、句の風景が上手くつかめませんでした。
句に動詞がふたつ「かじる」「開く」で、動詞の主格は作中主体。句が倒置されているとも汲めず、素直に語順のとおりに風景を受け取りましたが、そこの接続がよくわからない、という感想でした。
コメントを読んだところ上五と中七下五が時間を倒置をしているとのこと。そのヒントが句になく、意図がわかりづらい形だと思います。
◆存続・継続の「をり」で、「図鑑(は)開かれをり」ではなく「図鑑(を)開きをり」なので、三冊同時に図鑑を開いている【作中主体】を中七下五で強調しています。三冊同時に開いているのはなぜ?という疑問が残ったまま句が終わりました。
◆おそらくですが「句中の時間経過がかなり長いこと」「○○した(理由)から○○した(結果)という散文の形を一句にしている」の二つも、一句にまとめる時点で損をしています。
ということで、下五「をり」が句の解釈の邪魔をしている感じです。
上五を変えず、瞬間を意識して、に句意に近い形で作るなら
・梨かじる図鑑三冊読み終えて
で、動作の順序を明確にして下五から上五へ戻すべきではないかと考えました。
「をり」の意図(三冊目は開きっぱなし)を汲むなら、読みながら食べている感じになります。
・梨かじる図鑑三冊目のさ中
コメントとは違いますが三冊とも開きっぱなしなら
・梨かじる開いたままの図鑑三冊
十七音に入りませんでした。この場合「三冊」が句を邪魔しますかね?
補足です
取り合わせのコツは、十二音と、【十二音とは関係ない季語】です。
御句は、作者の頭の中で、十二音と季語が直接関係するストーリー(図鑑を三冊読んだ→のどがかわいた→梨)を作って、それを伝えようとしているので、一般的な取り合わせの句の解釈が上手く使えないのではないかと思います。