「失恋にプレタブの音缶ビール」の批評
こんばんは。
プレタブって言うのかな?
一般的には「ブルタブ」(pull-tab)だと思いますので、そちらをお勧めします。
で、二点ほど。
◆御句は季語が近いわけですが、近い場合の弱点のうちのひとつ、の話です。
季語が近いと【季語を説明に使っている】ような句になってしまうことがあるのです。
御句はまあまあそうなってしまって、主役が「プルタブの音」で、それは缶ビールのプルタブであるよ、と説明しているような形になっています。ダメなわけではないのですが、季語が生きにくいのと、説明的っぽくなるので詩は出にくいことが多いです。
他にも「季語が近い場合に詩が出にくい理由」がいくつかあって、初心者に全部を説明しきれないので、取り合わせの場合は「季語は近くない方がいい」という方法論が教えられるようになった、と考えています。
◆もう一点は小さめの話で、上五の助詞「に」が散文的な使われ方(理由・経過を説明している)と思われるので、ここは一考かと思いました。
で、御句の場合ですが、【季語が近い】のは避けられない内容なので、
たとえば省略していって説明感を省いていくのはどうかな?と思いました。
たとえば「缶ビール開ける」でプルタブを開けるときの「カシッ、プシュッ」という音は想像できますよね?あとは「失恋」「缶ビール」がそれぞれ主役なので、主役を持ち上げつつ取り合わせ方の検討です。
・失恋の音させて開く缶ビール
・爽快に開く失恋の缶ビール
・失恋は忘れるものよ缶ビール
一句目、二句目は季語「缶ビール」を立たせるための描写的修飾。
三句目は取り合わせ以外の説明を排除して、「缶ビール」という単語のみで開けている音や様子を想像させようという意図です。
こんな感じでいかがでしょうか。