俳句添削道場(投句と批評)

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「虫の夜の防災倉庫閉ぢしまま」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 虫の夜の防災倉庫閉ぢしまま

こんにちは。

大雑把に気になる点はふたつでした。
◆夜に倉庫が閉じていることに詩があるのかどうか?
◆その措辞を詩にするための取り合わせで、季語「虫の夜」がベターなのかどうか?(ベストである必要はないです)

上とは別の話で、「虫」という季語には「夜」という意味が付いて回ります(傍題に「昼の虫」があって「夜の虫」がないのがポイント)。その季語にわざわざ「夜」をつけて上五で「夜」を強調していますが、それが中七下五にかかっていくのかどうか?というところまで深掘りしてもいいかと思います。
なので、げば様の「灯りけり」はありに見えるのだと思います。「夜」をしつこく強調した伏線が回収できているので。

・閉じたままの防災倉庫虫すだく

点数: 3

「山茶花や輪廻を思ふ花と土」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 山茶花や輪廻を思ふ花と土

ごぶさたしております。コメントありがとうございます。
そもそも巨匠とかでもないですし、言われるとコメントしづらくなりますので、フランクに行きましょうフランクに。

御句、コメントを読むと下五の「花」は山茶花のことですね。
「花」はご注意ください。季重なりとは思いませんが受け手を困惑させがちです。

◆まず推敲が難しい点。有季定型俳句とは季節のごとの変化を、もっと大きく言えば季節の移り変わりによる生命の循環(人間を含む)を詠んでいるので、だいたいの季語に「輪廻」感はあるということ。
 ことさら山茶花を見て自分がそう思った、というのを句に残すのは良いと思いますが、ある意味「当たり前」の「理屈」を詠むことになります。また、受け手にとっては季語が他のものに変わりやすい可能性があります。この句の場合は散る花や儚いイメージの花、例えば上五を「桜木や」などにしても違和感が薄いはずです。
 この点は、「作者がそう思った」という句意なので、私からは変えられません。

◆山茶花の散る姿を詠んでいるのであれば下五の「花と土」に蛇足感がありますね。「花」は言わずもがな山茶花の花びらのことですし、「土」は山茶花の足元に見えています。

この句の場合は「作者がそう思った」という点に主眼がありそうですので、少し形を変えて以下のようになります。

・山茶花の散りて輪廻を思ひけり

「輪廻を思う」をわざわざ言わずに俳句の世界観や季語に託して、説明せずに映像だけを見せて、受け手の想像力を信頼する勇気があれば、もっと俳句の幅が広がることがあります。例えばの句を置いておきます。掲句の下五のことばを借りて。

・山茶花のはなびら土に触れてをり

点数: 3

「庭積もる白き雪花色競い」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 庭積もる白き雪花色競い

こんばんは。こちらのお名前変えられましたね。
あちらでの句はしばしば拝見しています。
意見を言いにくい場ですので、見るだけになっておりますが。

御句、俳句としては極めて難しいことをしようとしています。

◆一句の中で「雪」も「花」も詠む
◆花の種類を言わずに花の白さを詠む

どちらもウルトラCどころかF難度G難度くらいの技術が必要で、その難しさに気付いてらっしゃらないことが問題のようです。

細かい点では
◆「白き」と言わなくても雪は白いものなので、敢えて言うのは説明っぽいです
◆競っているのは「色」ではなく「白(さ)」では?
◆「白き雪花色競い」説明無しでは言葉の切れがどこにあるか不安になる形です。初読では「雪花」(=雪のこと)がそれぞれに競っているのかと思いました。

雪の句に植物の花を入れるのは超難しく、私に提案句は作れません。私が誤読した句意で提案するならば

・雪の花庭に白さを競ひあひ

こんな感じです。

点数: 3

「旬の時季だけ開ける牡蠣専門店」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 旬の時季だけ開ける牡蠣専門店

こんばんは。
店シリーズですね。

もうすでにみなさんから出ていますが

◆「旬」があれば「時季」が要るかどうか?
◆「店」とあって「閉」となければ大抵開いていることになるので、「開ける」が要るかどうか?
◆「専門店」まで言う必要があるかどうか?
◆上記の「時季」「明ける」「専門」それぞれ単なる音数合わせになっていないか?

というところです。
『旬だけの牡蠣の店』の十音で、なおじいさんの句の情報は入りそうです。その上で、どこに【詩】や【リアリティ】を出していくかを検討ですね。内容によって上記の言葉は使っても良いと思います。

・叔父さんの旬だけの牡蠣専門店
・旬の字の看板灯す牡蠣の店
・開きたれば旬なりここは牡蠣の店

もっと言えば、季語「牡蠣」は使った時点で【旬の時期】なので「旬だけの」という説明の言葉も回避したいのですが、句の意味が変わってしまうので・・・

点数: 3

「春風は汽笛と共にのと鉄道」の批評

回答者 イサク

添削した俳句: 春風は汽笛と共にのと鉄道

こんばんは。

句とコメントより、お気持ちは受け取りました。
ご自身の句として、この句は大事にしてください。
私も石川県には少なからず思い入れがありまして・・ここで語るのは控えますが。

以下、添削道場的に。
俳句としては悪くないと思います。
こういう形で季語が脇役に回る句もあると思います。

私のしている学びは「季語を立たせる」なので、それを意識するなら「句の映像・風景」である「のと鉄道」の上六字余りから、なおじい様と似た形になります。

・のと鉄道汽笛を運ぶ春の風

こんな形は慈雨様のお気持ちに合うでしょうか?

点数: 3

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